OUR JOB

生産技術の仕事

金型ひとつでウン千万円。失敗できない…なんてプレッシャーは、むしろ望むところです。

国内はもちろん、韓国へ、中国へ。
今日も外注先を飛び回る。

生産技術の仕事をひと言でいうと、
「製品を量産するための生産体制をつくる仕事」となる。
自分の担当はパチンコ部品だ。
パチンコ台に使われる板金部分の量産に必要な設備や機器を揃えていく。
最重要なのは量産の基礎になる金型の製作だ。
自分の担当で言えば現在は、
約7割の金型製作を海外の外注先に依頼している。
製品図面をもとに海の向こうへ金型の仕様を指示して発注する。
初品ができあがれば飛行機に飛び乗って現地へ。
板金部品を連続でテスト打ちした上で、精度を確認、
不具合があれば修正指示を出して日本に舞い戻る。
同時進行で国内ほか、各国の外注先にも指示を出す。
量産開始までの準備期間は、最低でもおよそ3ヵ月。
準備万端ととのえて、はじめて量産がスタートするわけだ。
そう、準備期間は最低でも3ヵ月…のはずだった。

ムリですよ。ムリです。
いや、ムリですって。

それは、自分の経験の中でも初めて見るくらいの超短納期案件。
情報によると、金型図面のGOサインが出てから
1ヵ月半で量産開始しないと間に合わない。
うん、これはムリだ。
何故って、金型の製作期間も検証する時間もまるで足りない。
準備に必要な過程をぜんぶすっ飛ばし、今から1ヵ月半後に量産開始!?
何度も「ムリです」「本当にムリです」と押し問答を繰り返す。
でも…そう言いながら、
『もしかしてアレがこうなって、コレをこうしたらイケるかも…』
なんていう勝算を、密かに思いついていた。
それがなんとなく伝わってしまったのか…。
超短納期プロジェクトの実行が決まったときには、
すでにやる気マンマンになっていた。
だって、こうなったらやるしかない。
実はこういうヒリヒリ感、わりと好きなんです。

挨拶をする間も惜しみ、
板金部品を1,000個打ち。

とりあえず、大急ぎで海外の外注先へ金型製作の注文書を送る。
それも超特急で頼み込み、製作開始の手筈を整えた。
料金は嵩むが、それも計算尽くだ。
そして金型完成の知らせを受けるが早いか、現地へ飛んだ。
さあ、これからがギャンブルだ。思わず背筋がゾクゾクする。
テストも何もかもすっ飛ばして、
現地でいきなり1,000個の板金部品を打たないと間に合わない。
金型がセットされた機械を見つめながら、
頼むから上手くいってくれ…と、気持ちはもう神頼みの領域に入る。
その瞬間、ガキン!と板金の音が鳴り響いた。
ひとつ目の製品ができあがってきたのだ。
すぐさま飛びつき、製品を手に取ってチェックを始める。
結果は…やった!よし合格!
しかしまだ安心はできない。
ひとつ目のハードルをクリアしただけだ。

「ただいま」と言うより早く、
量産を開始する。

現地で1,000個の板金部品製造に成功したのはいいが、
それを日本に送らなければ意味がない。
製品と金型を最短ルートで日本へ輸送する。
それが第2の関門。
通常のルートなら、その外注先からは船便で10日前後の時間がかかる。
しかし、そんな余裕がないのは分かってる。
大丈夫、ここに来るまでにすべて計画済みだ。
複数の輸送方法と必要なコストを検討した結果、
とある国内の港を経由し、4日間で本社工場に到着するルートを発見したのだ。
下調べどおりに荷送りをして、自分も日本に飛び帰る。
あとは、不測の事態が起こらないことを祈るばかりだ。
日本に着く。生産準備を始めながら金型の到着を待つ。
…よし届いた。どうにかここまで辿り着くことができた。
そうして量産を開始し、最終的に納品した製品数は10万個。
「今度ばかりは流石にダメかと思った」と言いながら、
心の底では『絶対になんとかしてやる』と、
決意を固めていたのは言うまでもない。

プロフィール紹介

吉川啓志(よしかわけいし)

入社:2000年
所属:金型製作購買課/生産技術

工学部機械工学科卒。大手パチンコ部品メーカーの担当として活躍するベテラン。パチンコ台に使用される板金部品の受注から、製品仕様決定、金型製作、生産体制確立、納品スケジュールまですべての流れを管理している。

日東への入社動機

昔からパチンコが好きだったこともあり、会社説明会の際にパチンコ関連の部品製造を手がけていることを知り興味を惹かれる。また、会社見学の際に社長とじっくり話す機会を得、仕事とは関係ない話題を面白おかしく話す社長の人柄に惹かれる。その場で社長から入社を打診され、「入ります」と即答したことが直接の入社のきっかけである。