生産管理という配属先を聞いたとき、
まっさきに頭の中に浮かんだのは大きな『?』マークでした。
恥ずかしながら、よく知らなかったんです。そのときは。
でも、約1年やってみた今なら分かる。
タイへンなんです、この仕事。
すごく大雑把に言うと、生産管理は生産の舵取りをする仕事です。
営業が製品を受注する。すると、お客様から月単位でオーダーが来る。
(例えば、1月は700個…という具合に)
そこで僕が考える。その数をクリアするには人員が何人必要か。
そもそも社内のキャパでその数がこなせるのか。
外注は必要ないか、その場合のコストは大丈夫なのか…。
この全てを生産管理が考え、最善の一手を打つのです。
…とか偉そうに言っちゃってゴメンナサイ。
実は僕、まだそのレベルにまで達してません。
そもそもムリだと思ってました。その生産数。
だって、ついこの間までは月産700個。
ところが、あっと言う間に受注が増え続け、
数ヵ月先に月産1500個の生産数を確保する必要があるっていうんです。
僕の頭の中には『ムリ』の2文字しかありません。
え?だって、ムリ…ですよね…?
それでも、製造現場にその情報を伝えに行く僕。
返ってきたのはやはり「これ以上は無理だよ」という言葉。
そうですよね、やっぱムリですよねと妙に納得してデスクに帰ります。
PCを立ち上げて生産計画予定表のエクセルをひらき、
始まったのは画面とのにらめっこです。
………はい、この時点で思考停止しました。
それでも時間が経つにつれ、気持ちはどんどんアセります。
え?どうすんのコレ?できなかったらどうなるの?
誰がやるの?本当にオレがやるの?どうやってやるの!?
もはや、上司に泣きつくしか方法が浮かびません。
「あの、これ、もうどうしようもないですよね…?」
おずおずと相談を持ちかけました。すると、
さすが上司です。ベテランです。プロフェッショナルです。
決断はものすごく早かった。
「とりあえずお前が持ってる情報をすべてまとめて、見える形に文書に纏めろ」との指示。
はい。すぐに作成しましたとも。
続いて開かれたのが、製造現場、営業など関係者をすべて集めた対策会議。
方策が次から次に出てきます。
現場の作業者を増やす、変則2交替勤務で対応する、一部を外注に出す…。
その場合のコストが試算され、現時点でベストだと思われる案にはGOサインが出ます。
僕にしてみれば、『こんなにもやれることがあったんだ』という気持ちです。
方針がまとまるのも、生産が動き出すのもあっという間。
僕、エクセルとにらめっこしてる場合じゃなかったんです。
現場と、上司と、営業と、すべての人ともっと話していればよかった。
そうしていれば、ずっと早く動き出せたのに…。
生産管理という仕事に携わり、もうすぐ1年が経とうとしています。
まだ足りない点ばかりだけど、仕事の入り口は見えてきた気がします。
できることも、徐々に増えてきたと思っています。
その分、少しずつ責任も重くなってきました。
プレッシャーがじわりと増えてきたのがわかります。
でも僕、そういうのは嫌いじゃないんです。
面白いとすら感じます。
問題をどうやって解決するか、対策を考え、
壁を越えていくことを楽しめています。
まあ、いつまでその余裕が続くか分かりませんけど。
山本貴大(やまもとたかひろ)
学生時代は理工学部・情報工学科にてIT系の勉強を重ねていた山本。しかし、情報工学科を専攻したのは「単純にパソコンを使えるようになりたかったから」だと語る。その言葉通り、卒業後はIT系に進むことなく製造業の日東へ入社、現在に至る。
もともと、学生時代から「モノができていく過程」に興味を抱いていたこともあり、就職活動では製造業を志望。日東の説明会に参加し、工場見学時に感じた社内の活気ある雰囲気に心を惹かれる。また、「固定の製品を作り続ける事業」ではない点にも興味を持ったという。さまざまな技術を駆使し、多種多様な製品を手がける日東の事業に触れ、「ここならたくさんのモノづくりを経験できる」という面白さを感じ、入社を決める。